スタッフブログ

【鉄道の日スペシャル】振り子車両で行く。

カテゴリー ショールームダイアリー
スタッフ 森本 篤範 / モリモトアツノリ   [セールススタッフ]
[2021/10/14]
セールススタッフ 森本 篤範
 
本日10月14日は、1872年に新橋・横浜間にはじめて鉄道が開通した事を記念して

「鉄道の日」と制定されています。そういう日ではありますが、

ただ鉄道の事を紹介しても仕方ないので、ここはアルファのブログらしく

「コーナリングに特化」した振り子式車両のご紹介をして参りたいと思います。





■JR西日本283系電車

 新大阪から阪和線、紀勢本線を通り白浜や新宮へ向かう特急「くろしお」に運用されている電車です。イルカをイメージしたデザインと南紀の海をイメージした塗色が特徴的で「オーシャンアロー」の愛称を持ちます。海岸線に沿って走る紀勢本線はカーブが多く、特に速達車では振り子式による速度向上の効果がありますから、1978年から381系振り子電車が導入されていました。1996年に登場した283系電車は、制御式+ベアリングガイド式振り子が導入され、乗り心地が大幅に向上しています。この先頭車両の最前列席は運転席越しに前面展望を楽しめる特等席です。





 
 振り子式車両はこのように、車体と台車の間に「コロ」が入っています。これによって車体は、横力を受けると「振子中心」を中心とした円運動をする仕掛けです。振子中心はクルマでいう「ロールセンター」と見る事ができます。普通クルマは重心よりもロールセンター位置が下にありますから、横力を受けた車体はカーブ外側に傾きます。一方、重心とロールセンターの上下が逆転している振り子車両は、横力を受けると車体がカーブ内側に傾くという訳です。
 最近ではコロの代わりに、弓なりに弧を描く形状をした「ベアリングガイド」を用いた振り子が主流になっています。そして、これら振り子式はコーナリング限界を高めるための仕掛けではなく、乗客にグラリと外向きの力を感じさせない為の装置です。これによって、振り子式車両は乗り心地を悪化させずにカーブでスピードを落とさず走る事が出来るのです。





■智頭急行HOT7000

 京都から智頭急行線を走り米子や倉吉へ行く特急「スーパーはくと」で運用される気動車です。1994年から2003年にかけて富士重工(当時)で製造されました。かつてJR四国で走っていた2000系気動車をベースに設計されたこのHOT7000は、コロ式+制御式の振り子機構が踏襲されているようです。コマツ製11リッター直列6気筒インタークーラーターボ355PSを1両に2機搭載、山陽本線や神戸線内を130km/hで激走しますから、今もっともアツい走りを楽しめる気動車特急と言えましょう。こちらも、先頭車両は運転席越しに前面展望を眺めることができます。







 
■JR西日本381系電車

 岡山から伯備線、山陰本線を通り出雲市駅までを結ぶ特急「やくも」の運用に就く特急電車です。1973年に特急「しなの」で初めての振り子車両として登場した381系は、コロ式+自然式の振り子機構を持ちます。遅滞なく振り子を作動させるため、車体はアルミ合金製とされ、冷房を床下に設置するなど低重心化が徹底された設計となっています。しかし、後に登場してくる制御式とは異なり、自然振り子の381系では車体の振り遅れや戻り遅れの発生も見られます。この辺りの挙動は、他の振り子式車両と乗り比べてみると良く解かります。 
 あまり知られていないのですが、381系電車は1985年に湖西線での高速試験で179.5km/hの国内における狭軌速度記録を樹立しています。実はこの記録は未だに破られていません。旋回上等だけでは飽き足らず、最高速上等もキメた歴史に残る韋駄天野郎なのです。





■JR東海383系電車

 名古屋から中央西線を抜け長野までを結ぶ特急「しなの」で運用されている特急電車です。1994年、登場後20年が経過した381系電車の入替え用として登場しました。振り子機構はベアリングガイド+制御式にグレードアップしています。また、車体端側軸箱の支持剛性を柔らかくすることでパッシブな操舵を可能とする「自己操舵台車」を採用、高速での曲線通過における線路への横圧を低減させる効果があります。
 こうして本則プラス35km/hの曲線通過が可能な383系電車は大変な高性能を誇るのではありますが、遠く南アルプスを車窓に眺めながらの旅は優雅そのものです。振り子車両運用では最も長い歴史を持つ特急「しなの」、その走りにはまさに王者の風格が漂うと言えましょう。





■JR北海道キハ283系気動車

 札幌と釧路を結ぶ特急「おおぞら」の運用に就く気動車です。1997年に登場、上述のHOT7000と同じく富士重工で製造されました。北海道特有の粉雪が振り子機構に入り込めばトラブルに繋がることから、制御式の振り子機構にはベアリングガイドが用いられています。その振り子傾斜角は6°と国内の振り子車両としては最大で、本則+40km/hの曲線通過速度(R600の場合)を誇ります。湿地帯の地盤が弱い路線を通る故、リンク式強制操舵機構も採用、軌道への負担を軽減しています。そして、HOT7000同様の355PSディーゼルエンジン2機を搭載、145km/h運転にも備えた超ハイスペック車両のキハ283系は、まさに「気動車特急のクワドリフォリオ」と呼べる存在です。ただし、現在ではJR北海道の方針で110km/hを上限とした走行をしています。





これはキハ283系の「N-DT283形台車」です。操舵装置のリンケージが手前に見えています。



私達はアルファ ロメオに乗る時、どうやったら旨くカーブが曲がれるか?

といろいろ考えたりします。鉄道車両も同じくいろいろ考えられているのです。

そんな視点で見てみると鉄道車両もなかなか面白い・・・

電車に乗るとすぐスマホ眺める方が沢山いらっしゃる昨今ですが、

案外それは勿体無い時間の使い方なのかもしれません。







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【鉄道の日スペシャル】振り子車両で行く。

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[2021/10/14]
セールススタッフ 森本 篤範
 
本日10月14日は、1872年に新橋・横浜間にはじめて鉄道が開通した事を記念して

「鉄道の日」と制定されています。そういう日ではありますが、

ただ鉄道の事を紹介しても仕方ないので、ここはアルファのブログらしく

「コーナリングに特化」した振り子式車両のご紹介をして参りたいと思います。





■JR西日本283系電車

 新大阪から阪和線、紀勢本線を通り白浜や新宮へ向かう特急「くろしお」に運用されている電車です。イルカをイメージしたデザインと南紀の海をイメージした塗色が特徴的で「オーシャンアロー」の愛称を持ちます。海岸線に沿って走る紀勢本線はカーブが多く、特に速達車では振り子式による速度向上の効果がありますから、1978年から381系振り子電車が導入されていました。1996年に登場した283系電車は、制御式+ベアリングガイド式振り子が導入され、乗り心地が大幅に向上しています。この先頭車両の最前列席は運転席越しに前面展望を楽しめる特等席です。





 
 振り子式車両はこのように、車体と台車の間に「コロ」が入っています。これによって車体は、横力を受けると「振子中心」を中心とした円運動をする仕掛けです。振子中心はクルマでいう「ロールセンター」と見る事ができます。普通クルマは重心よりもロールセンター位置が下にありますから、横力を受けた車体はカーブ外側に傾きます。一方、重心とロールセンターの上下が逆転している振り子車両は、横力を受けると車体がカーブ内側に傾くという訳です。
 最近ではコロの代わりに、弓なりに弧を描く形状をした「ベアリングガイド」を用いた振り子が主流になっています。そして、これら振り子式はコーナリング限界を高めるための仕掛けではなく、乗客にグラリと外向きの力を感じさせない為の装置です。これによって、振り子式車両は乗り心地を悪化させずにカーブでスピードを落とさず走る事が出来るのです。





■智頭急行HOT7000

 京都から智頭急行線を走り米子や倉吉へ行く特急「スーパーはくと」で運用される気動車です。1994年から2003年にかけて富士重工(当時)で製造されました。かつてJR四国で走っていた2000系気動車をベースに設計されたこのHOT7000は、コロ式+制御式の振り子機構が踏襲されているようです。コマツ製11リッター直列6気筒インタークーラーターボ355PSを1両に2機搭載、山陽本線や神戸線内を130km/hで激走しますから、今もっともアツい走りを楽しめる気動車特急と言えましょう。こちらも、先頭車両は運転席越しに前面展望を眺めることができます。







 
■JR西日本381系電車

 岡山から伯備線、山陰本線を通り出雲市駅までを結ぶ特急「やくも」の運用に就く特急電車です。1973年に特急「しなの」で初めての振り子車両として登場した381系は、コロ式+自然式の振り子機構を持ちます。遅滞なく振り子を作動させるため、車体はアルミ合金製とされ、冷房を床下に設置するなど低重心化が徹底された設計となっています。しかし、後に登場してくる制御式とは異なり、自然振り子の381系では車体の振り遅れや戻り遅れの発生も見られます。この辺りの挙動は、他の振り子式車両と乗り比べてみると良く解かります。 
 あまり知られていないのですが、381系電車は1985年に湖西線での高速試験で179.5km/hの国内における狭軌速度記録を樹立しています。実はこの記録は未だに破られていません。旋回上等だけでは飽き足らず、最高速上等もキメた歴史に残る韋駄天野郎なのです。





■JR東海383系電車

 名古屋から中央西線を抜け長野までを結ぶ特急「しなの」で運用されている特急電車です。1994年、登場後20年が経過した381系電車の入替え用として登場しました。振り子機構はベアリングガイド+制御式にグレードアップしています。また、車体端側軸箱の支持剛性を柔らかくすることでパッシブな操舵を可能とする「自己操舵台車」を採用、高速での曲線通過における線路への横圧を低減させる効果があります。
 こうして本則プラス35km/hの曲線通過が可能な383系電車は大変な高性能を誇るのではありますが、遠く南アルプスを車窓に眺めながらの旅は優雅そのものです。振り子車両運用では最も長い歴史を持つ特急「しなの」、その走りにはまさに王者の風格が漂うと言えましょう。





■JR北海道キハ283系気動車

 札幌と釧路を結ぶ特急「おおぞら」の運用に就く気動車です。1997年に登場、上述のHOT7000と同じく富士重工で製造されました。北海道特有の粉雪が振り子機構に入り込めばトラブルに繋がることから、制御式の振り子機構にはベアリングガイドが用いられています。その振り子傾斜角は6°と国内の振り子車両としては最大で、本則+40km/hの曲線通過速度(R600の場合)を誇ります。湿地帯の地盤が弱い路線を通る故、リンク式強制操舵機構も採用、軌道への負担を軽減しています。そして、HOT7000同様の355PSディーゼルエンジン2機を搭載、145km/h運転にも備えた超ハイスペック車両のキハ283系は、まさに「気動車特急のクワドリフォリオ」と呼べる存在です。ただし、現在ではJR北海道の方針で110km/hを上限とした走行をしています。





これはキハ283系の「N-DT283形台車」です。操舵装置のリンケージが手前に見えています。



私達はアルファ ロメオに乗る時、どうやったら旨くカーブが曲がれるか?

といろいろ考えたりします。鉄道車両も同じくいろいろ考えられているのです。

そんな視点で見てみると鉄道車両もなかなか面白い・・・

電車に乗るとすぐスマホ眺める方が沢山いらっしゃる昨今ですが、

案外それは勿体無い時間の使い方なのかもしれません。







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