ASRとVDC。
カテゴリー
:商品紹介(試乗感)
スタッフ
:森本 篤範 / モリモトアツノリ
[セールススタッフ]
[2021/01/21]
今シーズンは積雪が例年に比べて多く、関東でも雪上を走る機会がありそうです。
滑りやすい路面でドライバーを援護してくれるのがアルファ ロメオに搭載される
ASR(トラクションコントロール)やVDC(横滑り防止装置)、
今日はその効能を普通とは違った角度からご説明してみたいと思います。
ここで登場する被験車はお馴染み・・・
159 3.2Q4です。
アルファDNAが登場する以前のモデルではASR、VDCが任意に解除出来るように
なっていましたから、159は実験車両としてはもってこいという訳です。
リア脚をやや柔らかめに設定された159は、通常路面のコーナリングであればロール進行とともに後輪の対地キャンバーが暫増することで、リアが速やかにスリップアングルを付けて車体にヨーイングモーメントが綺麗に入る・・・そういう連続変化が実に美しい旋回マナーを持っています。まさに、アルファ実験部隊ならではのセッティングの妙味を感じられるのが159というクルマなのです。ところが、ロールがそれほど進行しないままスキッドが始まる積雪路では、このようなセッティングによる旨味を味わう事はできません。フロントヘビーに起因する(ど)アンダーをいかに殺して走るかが課題となるのです。
159のほか、147やGTなどASRやVDCを任意に解除出来た時代のアルファは
このスイッチを一回押すとASRのみが解除、
長押しするとASR、VDCの双方が解除、
という風になっていました。今回は雪上でそれぞれのパターンを試し
どのような動作をするかを確認して行きます。
一回ボタン押してVDCのみを解除した状態です。
ASRが解除されてますからアクセル操作に対しては比較的自由に反応してくれます。
ということは、VDCの作動のみを純粋に観察する事ができるのです。
例えば、左カーブでオーバーステアが出た時は、
右前輪にだけブレーキを掛けて旋回モーメントを減らしてくれます。
といっても、159は2005年にデビューしたクルマですから、その動作はナウなクルマのそれに比べるとかなり大雑把です。上述の様に右前だけブレーキつまんでる状況をドライバーが明らかに察知できてしまいます。VDCはブレーキを掛けて制御するのですから、基本的には作動=失速なのです。とはいえ、そこは流石のアルファ ロメオ、ある程度の車体スリップアングルはイイ感じに許してくれます。何でもカンでもダメ!という事ではないのです。これはASR、VDCの双方共にONの場合も同じで「スミマセン、ここから先は制御を介入させて頂きたいんですが・・・」みたいな感じで申し訳なく作動開始するので、ドライバーが運転操作の自由を奪われてイラっとするような事はあまりないと思います。ここでも、アルファ実験部隊の技を十全に堪能できるという訳です。
ボタン長押しでASR、VDCの双方を解除した状態です。
すべてはドライバーの自己責任においてコントロールするという事ですね。
この場面では、159Q4の重量バランスや駆動システムの特徴が丸出しになってしまいます。上述の様に、ただ転舵するだけではアンダー大会になってしまいますから、前荷重→転舵で“きっかけ”を与えてヨーイングモーメントを入れてあげなければ旋回が開始されません。“きっかけ”を与えたら、すかさずアクセルワークでスライドをコントロールしてコーナー出口に向かいます。もちろん、適切なギアを選んでおくことも必須です。進入でオーバーステアが大きくなり過ぎてしまった時などは、少しアクセルを踏んでリア荷重を入れてあげる事でそれを止めることができますが、そこから先は下手にアクセル離しても、踏んでもまたオーバーステアです。これが進行すると、1700kgにもなる159Q4の「タコ踊り」を止めるのは至難の業、故に対向車のある公道では「VDCのみON」が好ましいと思いました。
このブログに先んじてFBに掲載したドラレコ動画は
ASR、VDCの双方を解除した状態で撮影されたものです。
スピーカONにすると、より何が起こっているかが解かりやすいと思います。
アルファDNAが搭載された現代のモデルでは、
ASR・VDCの解除は出来ませんが、より多機能になって機能名称も変わっています。
その動作のロジックとしては基本的に159の時代と変わりませんが、
よりスムーズに作動するように改良されています。